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-目次ー

1.【はじめに】

現在、尺八は様々なジャンルで使用されるようになりました。その理由は尺八独特の音にあり、また、その深く複雑な音色の変化にあります。しかし、尺八の構造や奏法、音色の仕組みなどは、吹奏経験者にしか分からず、実に複雑です。私達 The Shakuhachi 5は、無限の可能性を秘めたこの楽器を、音楽を創る多くの音楽家・作曲家に、よりよく理解していただけるように説明したいと願ってきました。尺八を単なるエキゾチックな楽器としてだけではなく、その先にある深さ、細やかさ、面白さを伝えたいと思うのです。この楽器法を作成し公開することで、尺八に興味のある音楽家とより深い音楽を生み出し、尺八音楽の新しい未来を共に創っていけたらと考えています。  この「The Shakuhachi 5〈尺八楽器法〉」は、常に新しい発見を加えられるよう、可変的なWEB公開となっています。ですので、お読みいただき、不明な点なごがございましたらどうぞご連絡ください。必要な部分は修正・加筆して行きます。演奏家・音楽家、共に知恵を出し合い、永遠にアップデートを続ける「尺八楽器法のプラットフォーム」として機能できればと考えています。  それでは、この楽器法を通して、世にも面白い謎に満ちた尺八の世界をお楽しみ頂けたら幸いです。

2.【尺八の歴史】

奈良時代、中国から6孔の尺八が伝来した。当時、この楽器で唐楽が演奏されたと考えられているが、雅楽の変遷とともに、次第に演奏されなくなった。この「古代尺八」に代わって、次に歴史に登場するのは、5孔の「一節切」尺八。細身で短いこの楽器は、当時のはやり唄の伴奏等に使用されたが、次第に「手」と言われる一節切の専用曲が生まれた。17世紀になると、音程が安定し音量の大きい現在の尺八が台頭することになる。  現在の尺八は普化尺八と(虚無僧尺八とも)言われ、江戸時代、普化宗の虚無僧と呼ばれる半僧半武の人びとが専用したことから名づけられた。  虚無僧とは中国(唐)の普化禅師を祖とする普化宗の禅僧。尺八を吹き喜捨を請いながら諸国を行脚修行した有髪の僧とされ、頭には「天蓋」と呼ばれる深編笠をかぶる。読経の代わりに尺八を吹いて修行をした。その伝承曲を『尺八本曲』と呼ぶ。明治4年 (1871年)、明治政府は普化宗を廃止し、虚無僧は僧侶の資格を失った。  以降、主に地歌・筝曲との結びつきを深め、法器(*)から楽器へと転身することで、新たな道を開いていくこととなった。時代とともに、西洋音楽との接点も生まれ、洋楽器との合奏も普通に行われるようになった。現在では、音楽ジャンルも、古典からポップス・ロック・ジャズ・クラシック・現代音楽と幅広い分野で演奏されている。

*仏教・宗教活動の道具という意味で、尺八は《法器(ほうき)》とされた。

3.【尺八の構造】

1尺8寸管 (表)

1尺8寸管 (表)

1尺8寸管 (裏)

1尺8寸管 (裏)

尺八は真竹からつくられ、管尻が根の部分にあたる。七節が基本とされるが、例外もある。穴は、下から一孔、ニ孔、三孔、四孔、裏にあるのを五孔と呼ぶ。唇に当てる方を歌口、根の方を管尻、または筒口という。

〈歌口〉

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